「咲良、私は咲良を許さないよ。

絶対に!」


血で真っ赤に染まったナイフを持った優子が地面に倒れている私を見下ろしてそう言っていたけど、私の体は動かない。


私の体を乗っ取っている浜中美澄は優子から逃げようとしているみたいだったが、息が苦しく、目眩がして、私の体を操りきれていなかった。


顔を覆った包帯のすき間から優子の憎しみに満ちた目が光った。


そして優子はナイフを振り上げて、そのナイフを私の胸へと突き刺した。


その瞬間、浜中美澄の心の叫びが私には聞こえていた。


私の体が死にそうになって、浜中美澄の悪霊もこの世から消え去ろうとしていたのだ。


私は浜中美澄と共に死への苦痛を味わいながら、浜中美澄がこの世から消え去ってくれることを願っていた。


もう誰も理不尽な不幸にあわないように。


里山高校の都市伝説を誰も口にしないように。