浜中美澄が私の体を乗っ取ってから私はクラスの人気者になっていた。


地味で魅力のない私だったはずなのに、浜中美澄の魔力のせいか、私はキレイになったし、明るくなった。


でも、それは皮肉な現実だ。


私が私でなくなった途端に私の魅力が増すなんて。


それはきっと悲劇を通り越して、出来の悪いコメディだ。


そして私とは対称的に顔にキズを負った木村菜々子には、かつてのキラキラがなくなっていた。


木村菜々子は変わらずに美人なのだが、木村菜々子にはケガする前の明るさがなくなっていた。


人はきっと自信をなくしたときに、人としての魅力をなくすのだろうと私は思った。


木村菜々子が輝きを失った一番の原因は、須藤拓実の気持ちが木村菜々子から離れてしまったことだ。


今、須藤拓実のとなりには、木村菜々子の代わりに私がいる。


私は須藤拓実と付き合い始め、須藤拓実の恋人になれたのだ。