真夜中のサイコパス

「どうして、優子。

私、なにも変わってないよ。

いつも同じでいるつもりだよ」


私が優子との仲を元に戻したくて、絞り出すようにして出したその言葉は、優子には届かなかった。


「咲良は気づいていないかもしれないけど、咲良は変わったよ。

私が知っている咲良は内気で人見知りで、本当に心を許した人とにしか本当の自分をさらけ出せない人だよ。

少しのドキドキもなしに、拓実君と話せない人だよ」


「それは……。

私も少しは変わらなくちゃいけないと思っていて……」


「違う……。

違うよ、咲良」


そう言った優子の顔が悲しそうに歪んでいた。


私はそんな優子を見て、正直、胸が苦しかった。


「咲良の性格は少しずつ変わっていったんだよ。

ものすごく優しかった咲良がだんだん冷たくなったり、思いやりがあった咲良が自己チューになったり、好きな人よりも友達を大切にしていたのがそうじゃなくなったり……。

他のクラスメイトはまだ咲良の変化に気づいていないかもしれない。

だけど、私にはわかるよ。

咲良がだんだん別人になっていくのが……」


私は優子の思いを知って息が詰まった。


私ですらも気づいていない変化に優子はずっと気づいていたのだ。


優子は今にも泣き出しそうな顔で、自分の思いを私に伝えた。


「咲良が変わり出したのはあの日からだよ。

私と咲良が一年三組の教室に忍び込んで、浜中美澄の幽霊を呼び出したあの日……。

ねぇ、咲良。

もう一度聞くよ。

あの日から浜中美澄を感じているときはない?

本当に咲良は私が知っている咲良のままなの?」


私は優子の鋭い問いに言葉を返すことができなかった。


そして私たちの会話に少し間があった後、優子が強い言葉で私に言った。


「今日だってそうだよ。

木村菜々子がケガして学校を休んでいるのに、全然平気な顔で拓実君と笑いながら話している咲良は咲良じゃないよ。

咲良は私が知らない別人になろうとしているんだよ。

咲良はもう私が知っている咲良じゃないんだよ」