「私ね、浜中美澄の幽霊が咲良の中に入っていったとき、ものすごく怖かったの。

もしも咲良に浜中美澄が取りついたらどうしようって……。

そんなことになったら、里山高校の都市伝説を咲良に教えた私のせいだって……」


そう言った優子はすごく悲しそうな顔をしていた。


そして優子の私を見る目が、いつもとは違っているように思えていた。


私はその小さな違いを敏感に感じていた。


「私ね、咲良を信じたいけど、木村菜々子が階段から突き落とされたときにあの場所にいれたのは、咲良しかいないと思う。

だけど私が知っている咲良はそんなことを絶対にしない。

ねぇ、咲良。

本当に里山高校の都市伝説を検証したあの日から、浜中美澄を感じる日はなかったの?

私ね、いつだって咲良の味方でいたいよ。

だけど、咲良が私に隠しごとをしているみたいで……」


優子が言ったその言葉は私の真実をすべて暴いていた。


私はそんな優子を見つめながら、なにも言葉を返せなかった。


優子は私の秘密に気づいている。


そのことが私には怖かった。