真夜中のサイコパス

「さては咲良。

今、みんなが話しているなにかを知っているね」


優子はまるで探偵風に冗談めかして私にそう言ったが、優子のその言葉は冗談になってなかった。


だけど私はぎこちなく笑いながらこう言った。


「私はなにも知らないよ。

さっき教室に来たばかりだし……。

私も教室内が騒がしいなぁって、思っていたの。

でも、私はあまり気にならなくて……」


「ふーん。

そうなんだ」


優子はそう言って、私の顔をのぞき込んでいた。


「なんだか怪しいな。

咲良、私に隠しごとをしてないよね？」


「そんなことないよ。

私が優子に隠しごとなんてするわけないじゃん」


「まぁ、そうだよね。

私と咲良は親友だし」


優子はそう言って明るく笑った。


私は優子のその笑顔を見ながら、自分が優子を騙しているようで、胸が苦しくなっていた。