私は別校舎の階段で木村菜々子を突き飛ばしたあと、全力で家までの道を走っていた。


あの事件が自分のせいだって、バレたらどうしよう?


階段の踊場で倒れている木村菜々子は、誰かに発見された?


私が木村菜々子を突き飛ばした瞬間は誰にも見られていないはずだ。


だから私は大丈夫……。


絶対に大丈夫……。


そんなことを考えながら。


私はたくさんの不安を抱えながら家まで戻ってくると、二階にある自分の部屋へと駆け上がって、部屋に入りドアを閉めると、そのドアにもたれかかったまま、目を閉じた。


そして自分が起こしてしまった事件の大きさを思い、両手で顔を覆って泣いていた。


私は自分の体を使って木村菜々子を階段から突き飛ばした浜中美澄が憎かった。


もしも浜中美澄さえいなければ、私が道を踏み外すことはなかったのに。


私は今でも普通の高校生のままでいられたのに。


私は涙を拭い、フラフラとベッドまで歩くと、ベッドの上に座り込んだ。


今日は私の人生で最悪の日だ。


できるなら、私は今日という日を今すぐなくしたい。


昨日の朝に戻りたい。