「よっ、咲良!」


優子が明るい声でそう言って、私の肩を軽く叩いた。


考えごとをしていた私は、そのことにハッとして顔を上げた。


そして優子の方を振り返り、少しぎこちなく微笑んでいた。


「なんだぁ、優子かぁ」


「咲良、『なんだぁ』はないよ。

私さ、優子の友達だよ」


「うん、そうだよ。

一番の友達だよ。

だけど、いつも変わらなすぎて、ちゃんとがっかりしただけだよ」


「えっ!

そんなのないよ。

咲良はサプライズ的ななにかが欲しいわけなの?」


優子はそう言うと、少し拗ねたフリをして笑っていた。


優子と一緒にいると心が落ち着く。


優子はやっぱり私の一番の友達で、絶対に失いたくない存在だ。


だから私は一番の秘密を優子にも隠さなくてはいけない。


あのことは優子にも知られてはいけない私だけの秘密だから。