余命38日、きみに明日をあげる。


背の低い莉緒には、黒山の人だかりしか映ってないはずだが、それでも目をキラキラさせながらサクラを待っている。

やがて場内が暗転し、一点にスポットライトが当てられた。サクラの登壇だ。

「今日は、ファースト写真集の発売イベントに来ていただき、ありがとうございます、サクラです」

わーっと、一気に沸く会場。

黒いロングドレスをまとうそのスタイルの良さと光るオーラ。

さすが八頭身モデルだ。

人間離れした容姿に、俺も圧倒された。

「サクラちゃーーーーん!!」

莉緒も周りの観衆に混ざり、大興奮で叫ぶ。

「うっそ~、可愛い~、顔ちっちゃ~い」

「おい、莉緒興奮しすぎ!」

俺の心配をよそに、今にも飛び跳ねそうな莉緒。

こんなところで発作が起きたら大変だ。なんとか莉緒を取りなすと。

「なによっ、琉生が連れ来たくせに」

むっとした顔でにらんでくる。

それはそうだけど。