背の低い莉緒には、黒山の人だかりしか映ってないはずだが、それでも目をキラキラさせながらサクラを待っている。
やがて場内が暗転し、一点にスポットライトが当てられた。サクラの登壇だ。
「今日は、ファースト写真集の発売イベントに来ていただき、ありがとうございます、サクラです」
わーっと、一気に沸く会場。
黒いロングドレスをまとうそのスタイルの良さと光るオーラ。
さすが八頭身モデルだ。
人間離れした容姿に、俺も圧倒された。
「サクラちゃーーーーん!!」
莉緒も周りの観衆に混ざり、大興奮で叫ぶ。
「うっそ~、可愛い~、顔ちっちゃ~い」
「おい、莉緒興奮しすぎ!」
俺の心配をよそに、今にも飛び跳ねそうな莉緒。
こんなところで発作が起きたら大変だ。なんとか莉緒を取りなすと。
「なによっ、琉生が連れ来たくせに」
むっとした顔でにらんでくる。
それはそうだけど。



