しかもどこか嬉しそうだ。尻尾を振るようなその仕草が子犬みたいで可愛い。
俺と出かけるのがそんなに嬉しいのか?
なんて、都合のいい妄想だ。
「こんな都会に来るんだったら、もう少しオシャレしてくるんだったなぁ」
行きかう人を見ながらそうつぶやく莉緒だが、俺にとっては、隣を歩く莉緒が一番可愛い。
莉緒の願いを叶えているつもりが、こんなデート気分を味わわせてもらって、俺が夢を叶えてもらっている気分だ。
書店につくと、入口にはサクラのサイン会を告知するボードがでかでかと掲げられていた。ファンなのか、オシャレ女子も沢山いる。
「えっ、うそっ! 今日サクラちゃん来るの!?」
それを見た莉緒は、立ち止まり声を上げた。
「サクラの写真集発売のイベントをやるって、テレビで宣伝してたから。莉緒、サクラ好きだろ?」



