「体調は大丈夫?」
「はい、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」
おじさんもおばさんも、いつも私のことを気にかけてくれる。「それはよかった」と目を細めたおじさんは、
「これ、今年のクリスマスケーキの試作品なんだけど、食べてもらえるかな」
目を引くオレンジ色の箱に茶色いリボンがかけられているそれは、ケーキの箱。
「えっ、いいんですか!?」
クリスマスには、食べるのがもったいないくらい可愛らしいクリスマスケーキがショーケースを飾る。
それを眺めているだけで満足なケーキの試食を私が?
「莉緒ちゃんは、うちの味を良く知り尽くしてくれているからね。感想を聞かせてほしいんだ」
「はい! 任せてください!」
私は胸を張って言った。
大好きなおじさんのケーキを試作の段階で食べられるなんて、これ以上贅沢なことはない。
レポート用紙5枚にまとめて感想を提出したって苦じゃない。



