余命38日、きみに明日をあげる。


「体調は大丈夫?」

「はい、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」
 
おじさんもおばさんも、いつも私のことを気にかけてくれる。「それはよかった」と目を細めたおじさんは、

「これ、今年のクリスマスケーキの試作品なんだけど、食べてもらえるかな」

目を引くオレンジ色の箱に茶色いリボンがかけられているそれは、ケーキの箱。

「えっ、いいんですか!?」

クリスマスには、食べるのがもったいないくらい可愛らしいクリスマスケーキがショーケースを飾る。

それを眺めているだけで満足なケーキの試食を私が?

「莉緒ちゃんは、うちの味を良く知り尽くしてくれているからね。感想を聞かせてほしいんだ」

「はい! 任せてください!」

私は胸を張って言った。
 
大好きなおじさんのケーキを試作の段階で食べられるなんて、これ以上贅沢なことはない。
 
レポート用紙5枚にまとめて感想を提出したって苦じゃない。