魂を運ぶのは、とても尊い仕事だと言っていた。
見守っていた莉緒を最後まで見届け、自分の手で魂を運ぼうとしていたトーヤの想いに、胸が震える。
トーヤは、それほどまでにこの仕事に誇りを持っていたんだ……。
「そんなある日、上がってきたリストに、琉生さんの名前を見つけたそうです」
どくん、と。心臓が跳ね上がった。
「先輩は、まさか、と思ったそうです。ずっと、莉緒さんのことばかり気にしていたから。莉緒さんより琉生さんが先に逝くなんて想像もしていなくて。それで……先輩はある決心をしたのです」
息をのんで、ナオの言葉を待つ。
「死の神に伝わる話がありました。昔ひとりの死の神が、リストを書き換えたという話。禁忌の筆というものがあって、唯一、リストの書き換えができるのです。でも、それに触れるのはとても恐ろしいことだと聞いています」
声を震わせながら話すそれは、俺の背中をぞくりとさせた。



