余命38日、きみに明日をあげる。


魂を運ぶのは、とても尊い仕事だと言っていた。

見守っていた莉緒を最後まで見届け、自分の手で魂を運ぼうとしていたトーヤの想いに、胸が震える。

トーヤは、それほどまでにこの仕事に誇りを持っていたんだ……。

「そんなある日、上がってきたリストに、琉生さんの名前を見つけたそうです」

どくん、と。心臓が跳ね上がった。

「先輩は、まさか、と思ったそうです。ずっと、莉緒さんのことばかり気にしていたから。莉緒さんより琉生さんが先に逝くなんて想像もしていなくて。それで……先輩はある決心をしたのです」

息をのんで、ナオの言葉を待つ。

「死の神に伝わる話がありました。昔ひとりの死の神が、リストを書き換えたという話。禁忌の筆というものがあって、唯一、リストの書き換えができるのです。でも、それに触れるのはとても恐ろしいことだと聞いています」

声を震わせながら話すそれは、俺の背中をぞくりとさせた。