余命38日、きみに明日をあげる。


「先輩には自分にも幼なじみがいたと言っていました。でも、自分は死んでしまい、幼なじみを残してきてしまった。亡くなった後の後悔はそれだけだったそうです。だから莉緒さんと琉生さんが他人事には思えなかったのです。ふたりのことが気になっていたのでしょう」

感情などない冷徹男だと思っていたトーヤの過去。

初めてトーヤの目を見た時に現れた、俺を見る切なそうな瞳。

やはり、俺に目を見せないことで、あえて感情を隠していたのかもしれない。

「亡くなった莉緒さんのお友達は、莉緒さんと同じ病気でしたし、莉緒さんが二十歳まで生きられない宣告をされていることも知っていて、いつリストに上がってく
るか、近くの死の神仲間にこまめに確認していたようです」

ナオが、鼻をすする。

「先輩はもう死の神歴が相当長いです。当然、生まれ変わる権利を持っていました。それを施行しなかったのは……莉緒さんのためでした。莉緒さんのリストが上がってきたら、自分が担当できるように」