「昨日、先輩が私にすべてを話してくれました」
ナオが、いつものようにフードを取った。
その顔はとてもやつれていて、思わず声を失う。
「先輩は、莉緒さんのことを昔から知っていたようです」
「……え?」
「昔、担当した方のお友達が莉緒さんだったらしいんです。莉緒さんには見えていませんでしたが、先輩は莉緒さんのことを知っていました」
アキちゃんのことか?
アキちゃんの担当は、トーヤだったのか。
「それから何かと先輩は、莉緒さんのことを気にかけていたようです。成長を見守っていた……という感じでしょうか」
「死の神はそこまでするのか?」
「……ふつうはしませんよ。莉緒さんの……というより、莉緒さんと琉生さんのことをずっと見ていたようです」
ナオは、俺をまっすぐ見つめた。
「俺……?」
あの当時、莉緒の近くには俺もいた。……なら、トーヤが俺を知っていても不思議はない。
あの頃から知られていたのかと思うと、妙に変な気分になる。



