余命38日、きみに明日をあげる。


「昨日、先輩が私にすべてを話してくれました」

ナオが、いつものようにフードを取った。

その顔はとてもやつれていて、思わず声を失う。

「先輩は、莉緒さんのことを昔から知っていたようです」

「……え?」

「昔、担当した方のお友達が莉緒さんだったらしいんです。莉緒さんには見えていませんでしたが、先輩は莉緒さんのことを知っていました」

アキちゃんのことか?

アキちゃんの担当は、トーヤだったのか。

「それから何かと先輩は、莉緒さんのことを気にかけていたようです。成長を見守っていた……という感じでしょうか」

「死の神はそこまでするのか?」

「……ふつうはしませんよ。莉緒さんの……というより、莉緒さんと琉生さんのことをずっと見ていたようです」

ナオは、俺をまっすぐ見つめた。

「俺……?」

あの当時、莉緒の近くには俺もいた。……なら、トーヤが俺を知っていても不思議はない。

あの頃から知られていたのかと思うと、妙に変な気分になる。