次の瞬間、突き飛ばされた体。
冷たいアスファルトに体が投げ出され、一瞬強い痛みが体を襲った。
「うっ……」
じっと地面に伏せて……気づくと、世界はいつもの速度に戻っていた。
聞こえる車のクラクション。人々のざわめき。
あたりを見回すと、横断歩道の少し先には、さっきの乗用車が歩道に乗り上げて止まっている。
歩道脇には、倒れた自転車の横で呆然と立ち尽くしている陸乃進。
助かったのか……?
それとも、もう俺の体は幽霊にでもなっているのか……?
「人がひかれたぞ! 早く救急車!」
誰かの叫ぶ声が聞こえた。
やっぱり俺はひかれたのだろうか。
と思うそばから、俺を追い越し横断歩道の真ん中に駆け寄っていく人々。
え? 俺じゃない?
「……っ」
起き上がると、全身に強い痛みが走った。
そういえばさっき、誰かに突き飛ばされたのを思い出す。
もしかして、その人がひかれてしまったのか……!?
横断歩道上には、人だかりができていた。



