余命38日、きみに明日をあげる。


「すごいね、琉生くん。これって奇跡みたいだよね」

「うん」

感動して泣きそうになるなんて経験、初めてだった。

「私にも奇跡をおこせるかなあ」

寝転んで空を見上げてそう言った莉緒の手を握り、俺は言った。

「うん。不可能なんて、きっとこの世にはないと思う」

空を見上げていたら、今周りで起きていることなんて、すごくちっぽけに思えたんだ。なんだって出来る気がした。

今考えれば、あのとき莉緒は、きっと自分のことを言っていたのだと思う。

その帰り道。事は起こった。
 
突然、莉緒が苦しそうに胸を押さえ、しゃがみこんでしまったのだ。

「莉緒、どうしたの? だいじょうぶ⁉」
 
俺は慌てふためくだけで、どうすればいいかわからなかった。
 
莉緒は小さいころから入退院を何度か繰り返しているし、体育も見学している。

けれど、詳しいことは聞かされておらず、基本俺の前では元気な姿しか見たことがなかったから。