「すごいね、琉生くん。これって奇跡みたいだよね」
「うん」
感動して泣きそうになるなんて経験、初めてだった。
「私にも奇跡をおこせるかなあ」
寝転んで空を見上げてそう言った莉緒の手を握り、俺は言った。
「うん。不可能なんて、きっとこの世にはないと思う」
空を見上げていたら、今周りで起きていることなんて、すごくちっぽけに思えたんだ。なんだって出来る気がした。
今考えれば、あのとき莉緒は、きっと自分のことを言っていたのだと思う。
その帰り道。事は起こった。
突然、莉緒が苦しそうに胸を押さえ、しゃがみこんでしまったのだ。
「莉緒、どうしたの? だいじょうぶ⁉」
俺は慌てふためくだけで、どうすればいいかわからなかった。
莉緒は小さいころから入退院を何度か繰り返しているし、体育も見学している。
けれど、詳しいことは聞かされておらず、基本俺の前では元気な姿しか見たことがなかったから。



