余命38日、きみに明日をあげる。


「莉緒、真面目な話していい?」

「なに?」

改まって言われ、心臓がドキリとした。

今の話だって、十分真面目な話だと思うけれど……。

もしかして、歩美ちゃんとつき合うことになったと報告されるのかもしれないと、心の準備をする。

「俺、小さいころから莉緒と一緒に過ごしてきて、家族が仕事でいないときも莉緒がいたからさみしくなかった」

思いもよらない話の始まりに、目をぱちくりさせた。

「莉緒んちでメシ食わせてもらって、お風呂に入って、遊んで……」

懐かしい、思い出話……?

少し長い前髪がかかる目を細めて、懐かしそうに語りだすその表情を見ているだけで、とても穏やかな気持ちになる。

幼稚園生のころはbonheurが軌道に乗ってきたばかりで特に忙しく、気づけばいつも琉生が一緒だった。

おじさんたちが帰って来るのを待てなくて、たびたび家で寝てしまうこともあった。朝目覚めたら琉生が隣にいて、すごく安心したっけ。