こうやって、琉生とたわいもない話が出来るのはあとどれくらいあるのだろう。
無意識に、いつやってくるかわからない死の神におびえているのか、夢の中ではもう何度も会った。
黒づくめの洋服に、深くフードを被って顔が見えない死の神。
夢の中での私はイヤだイヤだと泣いて、目が覚めると本当に頬がぬれていた。そして、夢でよかったと安堵する。
やっぱり、私はアキちゃんのようにはなれない。
生きたくて生きたくてたまらないから。
「昨日さ……」
まだ頬に笑みを携えながら、急に真面目な口調になる琉生。
その口から出てきたのは、意外な人の名前だった。
「父さんと話したんだ」
「お父さんと……?」
お父さんの話なんて、いつぶりだろう……。
琉生は話してくれた。
将来は、パティシエになりたいと。
高校を卒業したら大学に行って視野を広げ、その後パティシエの勉強をする。
それを、はっきりお父さんに告げたんだ、と。



