その日は、部活がなかった一花が夕方お見舞いに来てくれた。
私の好きな桃のゼリーを沢山買って、一緒に食べながら最近学校であった話などを聞かせてくれる。
情景が浮かぶ学校の話は、とても楽しく私まで学校に行っている気分になれた。
一花と過ごす時間があっという間なのは、ここでも一緒。
そろそろ帰るね、と一花が帰り支度をしていると、入れ替わるように琉生が顔を出した。
「よお」
ドクン。
いつになく心臓が跳ねた。
あのツリーを見られてないだろうか。
見るわけないのに。見たって分かるわけないのに。自分の気持ちを外に出してしまったものだから、まるで告白したかのようにドキドキしたのだ。
「水野来てたんだ」
「もう帰るとこだから、あとは二人でごゆっくり~」
「なんだよそれ」
苦笑いしながらマフラーを取る琉生の鼻の頭は、やっぱり今日も赤かった。



