余命38日、きみに明日をあげる。


その日は、部活がなかった一花が夕方お見舞いに来てくれた。

私の好きな桃のゼリーを沢山買って、一緒に食べながら最近学校であった話などを聞かせてくれる。

情景が浮かぶ学校の話は、とても楽しく私まで学校に行っている気分になれた。

一花と過ごす時間があっという間なのは、ここでも一緒。

そろそろ帰るね、と一花が帰り支度をしていると、入れ替わるように琉生が顔を出した。

「よお」

ドクン。

いつになく心臓が跳ねた。

あのツリーを見られてないだろうか。

見るわけないのに。見たって分かるわけないのに。自分の気持ちを外に出してしまったものだから、まるで告白したかのようにドキドキしたのだ。

「水野来てたんだ」

「もう帰るとこだから、あとは二人でごゆっくり~」

「なんだよそれ」

苦笑いしながらマフラーを取る琉生の鼻の頭は、やっぱり今日も赤かった。