「佐久間が莉緒を好きなのなんて、誰が見たってわかるじゃん。私、中学の時から二人のことずっと見てるけど、莉緒が佐久間を好きなのより、佐久間は莉緒を好きだよ! 私が妬くくらいに」
一花は分かってないなあ。
琉生は、病気の私が心配なだけなのに。
「莉緒のことだって、莉緒だからそうしてるんだよ」
「一花、私ね……」
いつか言わなきゃいけないと思っていた。大切な一花だから。
「な、に……?」
不安そうに見つめる一花に私は言った。
「ハタチまで生きられないんだって」
すーっと風が通り抜けていく。
顎のラインで切り揃えられた一花のきれいな黒髪が、風になびいて右から左へと流れていくのをぼんやり見つめる。
髪の毛、細くてきれいだなあ、なんて。
そんなことでも考えてないと、心が持たない気がした。
「うそ……だよね?」
やっと絞り出された声は震えていた。
私は静かに首を横に振る。



