余命38日、きみに明日をあげる。


「佐久間が莉緒を好きなのなんて、誰が見たってわかるじゃん。私、中学の時から二人のことずっと見てるけど、莉緒が佐久間を好きなのより、佐久間は莉緒を好きだよ! 私が妬くくらいに」

一花は分かってないなあ。

琉生は、病気の私が心配なだけなのに。

「莉緒のことだって、莉緒だからそうしてるんだよ」

「一花、私ね……」

いつか言わなきゃいけないと思っていた。大切な一花だから。

「な、に……?」

不安そうに見つめる一花に私は言った。

「ハタチまで生きられないんだって」

すーっと風が通り抜けていく。

顎のラインで切り揃えられた一花のきれいな黒髪が、風になびいて右から左へと流れていくのをぼんやり見つめる。

髪の毛、細くてきれいだなあ、なんて。

そんなことでも考えてないと、心が持たない気がした。

「うそ……だよね?」

やっと絞り出された声は震えていた。

私は静かに首を横に振る。