余命38日、きみに明日をあげる。


どうして琉生が? 思いもよらぬ人の登場に、心臓が小さく跳ねる。

「驚かせてごめん。……大丈夫か?」

ドアノブを握ったまま、そっと声をかけてくる琉生。

「う、うん……」

私はゆっくり呼吸を整えた。

琉生が私の部屋に来るのは別に珍しいことじゃない。

だからお母さんもわざわざ琉生が来たことを知らせるでもなく、琉生は勝手に二階へ上がってくる。

でも、今日は──。

「ど、どうしたの……?」

あんな別れ方をした後だし、なんとなく気まずい。

琉生は問いかけには答えず、ドアを閉めると部屋の真ん中であぐらをかいた。

何か言ってほしくて琉生をじっと見つめる私に、なにを言うでもなく、見つめ返し
てくる。

なんだろう。琉生とこんな雰囲気になるのは初めてかもしれない。

その視線に耐えられなくて、私から視線をパッと外した。

「なんだよ、さっきの」

するとすぐに声が飛んできて、私の視線は簡単に引き戻された。