「倉木、お疲れ。これは倉木の分」
ドリンクの入っていた箱をつぶしていると、先生からスポーツドリンクが手渡された。
「私も……いいんですか?」
「もちろんだよ」
「ありがとうございます」
PTAからの支給品だから、生徒全員分あるのだろう。
走ってもいない私がもらってもいいのだろうか、という気持ちを持ちながらも受け取ると、ひそひそと声が聞こえてきた。
「あの子もドリンクもらってるよ」
「ほんとだ、疲れてもないのにね」
星野さんたちだ。
朝のことが尾を引いているのか、あのグループからの視線と風当たりはいつもより強い。
聞こえてないふりをしたけれど、胸がひりひり痛かった。



