余命38日、きみに明日をあげる。


6分もすれば、スタート地点にもう早い集団が戻ってきた。

3年生の赤いジャージに混ざり、2年生の青いジャージが一人。

琉生だ……!
 
私と目があうと、琉生は小さくガッツポーズした。

まだまだ余裕の表情。

「ファイトー」

琉生個人に声をかけたかったけれど、集団になっている中で琉生だけに声をかけるのはどうかと思い、それぞれに同じ言葉をかけた。
 
そのまま上位をキープし、3年生を差し置いて、琉生は1位でゴールした。
 
私は、ゴールし終わり歩いてきた琉生に、ドリンクを手渡す。
 
まさか、1番に琉生に渡すことになるとは。

「莉緒、やったよ!」

「琉生おめでとう! さすがだね!」

もっと話していたかったけど、続けてやって来た2位の先輩に早くしてよ……みたいな目で見られてしまい、慌てて頭を下げてドリンクを手渡した。

太陽がちょうどてっぺんに上ったころ、マラソン大会は無事に終了した。