余命38日、きみに明日をあげる。


それでも、そんなことは気にしていないように私の両肩を掴み、優しくそう言ってくれる。

私のことを思ってくれているのがすごくわかって、涙が出そうになった。

「ごめんね、私のせいで、一花まであんな言われ方しちゃって」

「ぜーんぜん。なんとも思わないし、痛くもかゆくもないって!」
 
強いなあ、一花は。

「ありがとう、一花」
 
一花が私の親友で、よかった。

 
森林公園までの10分間は、一花と楽しくお喋りしながら歩いた。

背筋が伸びるような冷たい空気は、イヤな気持ちを吹き飛ばしてくれた。

森林公園は芝生が綺麗に整備されており、落葉しない木々は紅葉狩りにぴったりなくらい赤や黄色に色づいていた。

スマホで写真を撮っている生徒もたくさんいる。
 
すぐに整列し、準備体操が始まり、女子の部がスタートとなった。

「一花、全力で応援してるからね!」

「うん! 莉緒の分まで頑張って来るから!」