「あ、じゃあ、連絡先教えてもらえませんか?」 真衣は食い下がった。が、常木さんの方が一枚上手であった。 「僕、スマホを持っていないんです」 常木さんはキッパリとそう言って、狐面を被り直した。 そうですか珍しいなあ、と真衣は残念そうに肩をすくめ、椎名はといえば最後まで狐のお面に釘付けだった。 彼女の好奇心は珍妙な代物にグラグラと心惹かれるようだ。