なんでりんご? ころころ転がってきた方をたどると、うずくまっている人影が見えた。 青白い顔の女性だった。 「あの、大丈夫ですか?」 「……え、ええ。ごめんなさい、ときどき貧血でこうなるの」 女の人は立ち上がろうとするが、ふらっと足元が揺らぎ、私はとっさに支えた。 「ごめんなさいね」 力なく微笑む女性は今にも倒れてしまいそうだ。 地面には荷物も置いてあるし、買い物帰りだったのだろう。 転がってきたりんごを袋の中に戻して買い物袋を持ち上げた。 「よければ、家までお持ちしますよ」