「強いていうなら……」



常木さんの腕が私の腰にまわってがっしりホールドされてしまった。



「久美ちゃんに首輪でもつけておこうかな、と思ったくらいですかね」





………な、なんと!




これはスキンシップで済ませない域に達しておるではないか。



それとも成人男性というのは、気のない女子の腰でも抱き寄せるものなのか……。


そこに山があるから登る登山家のように、そこに腰があれば抱き寄せてしまうのか!




ぽかんと静止している私に、常木さんは笑いかける。




「心配しなくても、とって食ったりしないですから。……約束はできないけど」


「ふぇっ」




腕に力が込められ常木さんと密着してしまう。
彼の唇が私の首筋にあてがわれているような気がする。




あまりの急展開に私は思考停止寸前だった。




えっと、私は、オープンキャンパスに来たんだよね……。なんでこんなことになっているんだ。




ぐるぐる考えていると、首筋にちくっとした痛みが走った。




「いたっ」と首をすくめると常木さんは舌なめずりをした。



「すみません。マーキングだけさせていただきました」と訳のわからないことを口走る。





やっぱり、飲んでるのでは……?



私は心配になった。