それから小学校に入学して、泉と仲良くなった。


さすがに長い付き合いの泉にはあの時の出来事を説明している。


だからこそ泉はあたしのことを気遣ってくれて、幸せになってほしいと願ってくれているのだ。


あたしは冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して一口飲んだ。


どうにか気持ちを落ち着かせることができたけれど、もう眠ることはできそうにない。


またあの時の夢を見るかもしれないという恐怖心。


夢を見なくなってしまったという罪悪感に近い気持ち。


様々なものが心の中でせめぎ合っている。


「ごめんね泉。あたしにはまだ無理そうだよ」


目の前にある幸せに手を伸ばすことは難しい。


そう感じて、あたしは小さく呟いたのだった。