綺桜の舞う

「ボクは前線に立つタイプの人間だからね。
スパイとか、本当に向いてないんだよ」


……確かに。
ガチで強い。
当たったら一発で骨砕けそうな勢いの脚がもう何度も俺に繰り出されている。
さっきからかわし切れなくて俺の身体を掠める脚が異様な破壊力だ。
俺が粉砕するのも時間の問題か。


できればその前に、ユッキーには戦うって腹決めてもらってちゃんとこの戦いを見ていて欲しいんだけど。


「いつも思うんだけどさ、女の子の特攻服の下のサラシって取れないの?」
「結構ガッツリ固めてるから簡単には取れないよ。
ボクの場合、保険もかけてるし、男達がラッキーみたいな展開は限りなくゼロに近い」
「そっかー、それは残念」


時間、稼いだところでユッキーに希望はなさそう……かも。


少し、ユッキーに意識を寄せた途端、今だと言わんばかりに、今までには見なかったスピードの脚が床と水平に弧を描く。


「……ぅぐっ、」


身体が地面に擦って、2メートル近く飛んだ感覚。
床を転がる身体が軋む。


……流石に、立てない。