綺桜の舞う

好きな女の子に、こんなことできるのは、蛍と朔ぐらいお互いのことを分かりきっていないと厳しい。
琥珀ちゃんとの戦いは初。戦い方のくせもわからない。
ただ、この戦い方に見覚えがある俺としては、ユッキーより幾分か有利であることは確かだ。


繰り出した拳はしっかり受け流されて、相手の脚が動く。
俺はそれを受ける前に左に逸れて、同じく足技。
湊の見様見真似で覚えた回し蹴りも、回数を重ねたら威力はそれなりになった。


「ふぅん。総長なだけあるね。戦い方が豊富なご様子で」
「前の路地裏の戦いの時とは違うでしょ?」
「うん」
「鬼王の時とも」
「うん」
「俺らの関わる抗争をチラチラ見にきてたよね、君」


お互い一発も食らわない互角な戦い。
息だけが切れていく時間。


「薫風がね。
今日の時のために、傘下の動向と綺龍の力量の確認してきてってご命令があって」
「隠れるのは下手だね」