「好きだよ、陽向……だから、次死ぬっていう時はこの戦いに負けた時だろうし、私も死ぬ」
「沙彩ちゃん……」
「陽向の世界の中心は夜桜で、私の世界の中心は陽向で、この差がどうしようもなく埋められないのはもうわかった。
だから、違うベクトルのままでいいから、私は陽向の隣にいるのは許して欲しい。
運命共同体だなんて、メルヘンなことは言わないけど……命投げるタイミングくらい、同じでもいいと思う」



この数日で、もう気持ちの整理はついた。
陽向が私のために生きられないのは、もう受け止めた。
女と男の価値観の違いは、違う生き物なんだから無理に埋める必要ないって、そう思ったら落ち着いた。
陽向の中での私への好きの気持ちの占める大きさと、私の中での陽向への好きの気持ちの占める大きさは違うけど、質量的にはお互い同じくらいの大きさのはずなんだよ。


比較的、陽向の方がまわりに対する好きの容量は大きくて、狭い世界で生きてきた私とはそもそもが違うんだよって。