綺桜の舞う

疑心暗鬼が過ぎるか?
叶奏を疑い始めたらもはや末期な気もする。
総長をして、みんなのトップとして純粋に動いている叶奏を疑い始めたら、もう。
本当に誰も信じていられない。


でも、そうだ。
雪兎は言っていた。


元から叶奏は自分のことをペラペラ人に言い尽くすようなタイプじゃなかったから、幼馴染である雪兎も夕でさえも叶奏の記憶についてはほとんどわからない。
族に入る前は、ただのその辺にいるような不良に見えたし、その前はただの真面目な学生だった、と。
どうしてグレたのかも、族に入ろうとしたのかも、誰にもはわからない、と。


俺たちのこの集団において、謎が多いのは叶奏であり、叶奏しかいない。


彼氏として、この思考は。


叶奏のことを裏切ったことに等しいのかもしれない。