綺桜の舞う

俺はそんなことを思いながら理科棟3階を歩く。
どこかの教室にいそうな雰囲気もないし、これより向こうは芸能コースの教室棟だから入ると割と怒られる。
さぁて、どこか。


何気なく窓から外を覗く。
視界には新しいわりには旧校舎と化した3年前の教室棟。
今や部活やイベントごとの更衣場所だったり、カップルの密会場所だったり、先生方の不倫的な大人な時間を過ごす場所だったりと、もはやその枠組みの意味を持たない校舎。


2階の窓。
人影が2つ。
……いた、叶奏だ。


叶奏と……あの女は……?
長い黒髪、見たことある顔。


『───全員、殲滅』


『姫は情報が隠されててわからないけど、おそらくは鬼王の抗争のときにいた白いの。
こないだの抗争の指示してた黒髪』


あれは……叶奏がヤバい状況なのか。それとも、


『……もう誰を信じるべきなんだろうな』


───俺たちがヤバい状況なのか。
どちらにせよ、あそこに向かわなくちゃ。


俺は慌てて足を動かす。