「まぁな……お前より元気発剌な脳筋タイプだったからな」


知り合い?と、陽向の疑問符。
俺たちは顔を見合わせて、微妙な顔をする。


「あのーね?
俺が施設育ちなのは知ってるでしょ?」
「うん。今もだよね」
「俺も伊織と同じとこの出」
「……ん?」


俺の発言に空間がもろもろ疑問でいっぱいになる。


今でこそ俺は両親に恵まれて、ちょっとめんどくさいけどいい姉にも恵まれて、仲良しこよしな普通の生活を送ってはいるけど、それは今の両親が俺のことを引き取ってくれたからで、持病のせいで捨てられた俺に病気は関係ないと手を差し伸べてくれた人たちだった。


そんな俺が施設を出る2ヶ月前、俺たちは天馬に引き取られていく薫風を見送った。


俺がいて、伊織が来て、薫風が入ってきたあの施設で、基本俺たちは3人で一緒にいたし、薫風の家が決まった時も、少し寂しかったけど、3人で笑った記憶がある。


「陽向からあざとさ抜いてガキっぽさ足した感じの性格してたよ。
少なくとも今より、性格は良かった」



倉庫が、どうしようもない空気に染まる。