綺桜の舞う

確かに叶奏のドラムは楽譜をなぞってないとはいえ、理に適ってないこともない。
そこはもともとついてる音楽知識が脳内で応用変換されてるが故なんだろうけど。
ただ、それは聴き慣れない曲限定であって、普段からバンド調の曲で聴くやつでそれをすると違和感しかない。
叶奏が叩くのは最近流行りのバンドの曲だから多分みんな違和感しかないと思う。


ちなみに流行りに疎すぎる叶奏はそう言うの全然わかんない。かく言う俺も、この曲が流行ってるって言うのを雪兎に聞いて初めて知った。


「ねぇなんで?いいよ?ドラム叩いてくれたって歌ってくれたって」
「え、無理。もう3年近く叩いてないし」
「大丈夫だよ、しよ?」


叶奏は立ち上がって俺を無理やりドラムセットに座らせる。スティックが手渡されて。
いや、手汗な。


俺は譜面を見て、スマホを取り出す。
……中学の時からインストールしたままのメトロノーム。
俺はそれを膝の上に置いて軽く叩いてみる。