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「違う、ちゃんと楽譜読んで」
「ん〜〜……読めない〜〜」
「今までどうやって叩いてたんだよ」
「……感覚」
放課後、いつもなら倉庫に行くところを、本日は……まぁ叶奏のクラスに混じって、スタジオ練習。
ちなみに、伊織と有村も同じクラスのはずなんだけど。
有村は軽音の部室借りるらしいが、伊織は……サボりか遅刻か。
「ちゃんと読めって。変なところでシンバル鳴らすな」
「んん〜なんで?感覚でしょ?」
「譜面読め」
いやもう、頭おかし過ぎて疲れた。
かれこれ1時間こんな感じ。
側から見たらちょっと喧嘩してるバカップルかもだけど俺からしたら大衆の面前で何させられてるんだって気持ち。
「湊くん叩いてみてよ」
「それだけはやだ」
「お手本!」
「嫌」
ここに来る前に雪兎に聞いたんだけど、叶奏は元からドラムの楽譜の知識なんかこれっぽっちもなくて、常に感覚で叩く天才肌だったらしい。

