綺桜の舞う

「ん、湊?」


ふと、向こうの方から、声が。
……結構昔に聞いたような、声。


「……あぁ、どーも」
「どーもって何〜?他人行儀だな〜」


近づいてきてニコニコと俺の腕をパシパシと叩く女。
俺は一歩下がって、距離を取る。


「え〜、久々〜。ここよく来るの?
高校入ってから湊一人暮らし始めたらしいじゃん、伊織に聞いたよ?全然会わなかったのはそういう事なんだね」


1人でめちゃくちゃ話している、女。
元カノ、とかいうやつ。
……これはとてもまずい。
叶奏が戻ってくるのはもうすぐだろうし、できればこの女早く消えてほしい。


「あぁ、そーだな」
「何〜素っ気なくない?
変わんないね〜」


いや、お前との立場が変わっただろ。


「1人で来たの?」
「なわけないだろ」
「ん、伊織くんときたんだ?」
「ちげーよ。お前と話してるとこ見られたくない相手と来てるからまじで消えてほしいんだけど」
「あー、それは彼女だな?
へぇ〜、湊彼女できたんだ?」