そんな怒らないでください。


「湊くん、早く元気なってね?」
「ん……叶奏も、あんま心配しないで」
「うん……」


いや、泣いてるけど。
あぁもう、絶対薬飲み忘れない。


「ほれほれ、免疫下がってるって言われたんだからキスはやめとけよ〜」
「しねーよ」


1人部屋じゃないし、そんな害悪なことできない。


「ま、今回は貧血だろうしすぐ帰れるよ、って言ってたからちょっとの我慢ね。
まぁ、明らかに全身の筋肉緩々なってるけどな、お前」
「力入ってないからな今日」
「あの医者、原因わからないからって筋弛緩のことなんも言わなかったからな〜、ヤブ医者だよ、病院変えよ」
「それ病院で言うなよ」


そう言って伊織はベッドから離れようとしない叶奏を引きずって帰っていった。


……早く治そ。
こうやって俺がここにいる間、叶奏がどうやって飯食って生きていくかは知らないけど、とにかく早く帰らないと。


俺が死ぬ気がする。