綺桜の舞う

叶奏は俺の腕を抜け出してバタバタと部屋を出ていく。
あー……しんど。
とりあえず、もう一回寝ようかな。
……なんも食ってないから、薬もそんな効きそうにないし。食えよって話なんだけど。


目を瞑って、ゆっくり意識を手放した。








◇ ◇ ◇


目を覚ますと、なんだか、うん。


「……どこ、いくの」


車の中だった。
そして初日のリムジン。
俺の頭は叶奏の膝の上、叶奏は俺のことを心配そうに見つめている。


「あっ、あの……病院。
しっ、心配だったの……ごめんね」
「叶奏ちゃんは謝らなくていいんだよ、湊が無理するのはいつものことなんだから」


霞む瞳に映る叶奏は明らかに動揺している。
向かい側には伊織。
……どうやら他には乗っていない。


「……こっちこそ、心配ばっか、ごめん」
「ううんっ、ごめんね……私、なんも気遣えなくて、伊織くんに全部お頼みして……それで」
「叶奏、ありがと」