伊織はパチンとバレッタを止め直すと、ホイホイ、と蛍に手を差し伸べる。


「蛍、下にいる」
「ん、いいの?」
「成(なる)くんが仲良くしてくれるから、下にいる」
「蛍が下にいるなら私もここにいるね」


伊織はそっか〜、と言って1人で上に上がっていった。
多分幹部室の人間を呼んでくるんだと思う。
しばらくはみんなここで過ごすことになるんだろう。


「成くん。蛍とたくさんお話ししてるの、朔には内緒」


淡々と成に話しかけながら、じーっとその顔を覗き込む蛍。
天然かもしれない。


ちなみに今日蛍を後ろに乗せてきたのは伊織。
初めて会ったのにとんでもなく物騒な表情をしていた蛍の彼氏に見送られながら、ここに来るのは本当に怖気がした。
ちなみに、俺の後ろは当たり前みたいに姫野だった。


「ここでの湊くんはどんな感じ?」
「副総長っすか?静かっすよ」
「あっ、いつも通りなんだ」