綺桜の舞う

「えー、沙彩は?」
「んー?」


プシュ、っとプルタブを開ける音。
もう3本目。
今日のペースは早い気がする。


「陽向の親かぁ……お母さんなら会ったことあるね。
お父さんはちょうどお仕事と被っちゃって会えてない」


飲んでる量の割にはしっかり話す沙彩。
蛍はまだ1本目の半分も飲んでない。


「私も開けよーかな」


叶奏はそう言って冷蔵庫の方へ去っていった。


「あんずはそういうのないの?」
「私ですか?私はあんまり」
「なんで?割といい男ばっかでしょ。夜桜。
綺龍だって、まあまあ問題児もいるけど」


伊織くんみたいな、と笑う沙彩。


「伊織さん、本当に遊んでるんですね?昨日びっくりしましたよ、私」
「何かあった?」
「着替え中なのに入ってこられました」


服は着てたんですけど、とムッとした顔。


「あー。ビチャビチャになってたもんね?」
「……まぁ」
「伊織くん貞操観念ぶっ壊れてるから気をつけたほうがいいね」


タバコ増えてるしねー、と遠くから聞こえて来る叶奏の声。