綺桜の舞う

湊くんは、私の隣がいいな。と笑う叶奏。
仰せの通りに。


「えーっとね、注意点は〜」


雪兎が言ってたんだけど、と付け足す。


「夜は耳を澄まさないであげてください」


……。


俺と伊織は視線をかわす。
お前もその部類だぞ、という伊織の目。


……思いの外、夜桜のメンツは盛ってる。


「わかったよ〜」


俺たちはそれぞれ部屋に入って荷物を片付けて。
そんなことをしているうちにコンコンコンと、部屋にノック。


「はい」
「入りま〜す」


叶奏はそう言って、ドアを開けると顔を覗かせる。


「何?」
「……なに、してるかなーって」


ワンピースをひらひらさせながら部屋に入ってきて、むぎゅっと後ろから抱きついてくる。


「動けねーよ?」
「……うん」
「片付けたいんだけど」
「……うん」
「いつもより、そわそわしてんな」
「……ん」