綺桜の舞う

俺たちは叶奏に連れられて別荘に向かう。


門から玄関までは長くないけど、共に扉は大きい。
入ると実家と同じように、使用人の方々が並んでいた。


「叶奏様、ご準備は出来ております」
「ありがとう、渡辺さん」


……渡辺さん、と呼ばれた人は俺のことを見てにっこり笑うと会釈する。


「それではみなさま、こちらへ」


案内されたのは客間。


「みなさまの左手にあるドアを開けていただくと、ゲストルームにつながっておりますのでご自由にお使いください。
シャワールームとお手洗いは各部屋にございます。
お食事は朝昼夜と全てご用意させて戴きます」


渡辺さんはそれだけ言うと、失礼します、と言って部屋から出て行ってしまった。


「とりあえず、それぞれお部屋の準備して今日はゆっくりしてもらったらいいや。
明日はみんなと朝合流したら打ち合わせして夕方まではみんなそわそわしちゃって何も出来ないだろうからこれまた自由にしててもらっていいから」