「あと……ずっと黙ってたんだけど……」



おいおい、まだあんのかよ。勘弁してくれよ。

ドキドキしながら耳を傾ける。



「……公園で抱きしめ合ってたの見ちゃった」



ドキッと心臓が揺れ動いた。

そ、それって……!



「キャ……」

「ここ神社。お客さんと神様に迷惑だから抑えろ」



恥ずかしさのあまり叫び声を上げようとしたが、彼の両手によって阻止された。


抑えろって言われても!

涙を拭く物がなくて、代わりにサングラスを渡したところや、匂いにうっとりしていたのを見たわけだよな……⁉



「……っ、なんで黙ってたんだよ!」

「2人とも深刻な顔してたからツッコみづらかったんだよ!」

「だからって……」



手を離した彼に問い詰めようと言いかけた途端、ハッと気づく。



「……もしかして、他にも見てた人いた?」

「うん。友達と一緒にいたから。でも怜也の同級生じゃないよ」

「そうか……」



ギャラリーが2人だけだったと知り、ちょっと安心。

あの時、完全に2人の世界に入ってたもんな……。
周りに人がいるかもしれないって全然頭になかった。



「怜也なら大丈夫。きっと成功するよ」

「……ありがとう」