怜也side



「よっしゃー!」



俺の名前は上川怜也。
自他共に認める、お調子者の高校2年生。


数時間前、友達であり好きな人でもある綿原さんを遊びに誘うことに成功。

そして、隼と清花ちゃんからもオッケーをもらい、現在、部屋でガッツポーズをしているところ。



「そうだ! せっかくだからさっき話してたデニムシャツを着て行こっかな~♪」

「うるせぇなぁ……静かにしろよ」



鏡の前で服を当てていると、いつの間にかドアが開いており、そこには疲れた顔をした姉が立っていた。



「キャ~! 怖~い!」

「声デケェんだよ、黙って選べよ」



ボサボサの頭で睨んでいる姉のみゆは、男とお酒が大好きな4つ上の大学生。

男遊びが激しく、彼氏は不特定多数いるらしい。


彼氏の前では猫をかぶっていて、本性はこのようにとても口が悪い。



「はいはいすみませんでした! その顔、とうとう二日酔いしたの?」

「いや、筋肉痛。はぁ……やっぱ断っとけば良かった」



溜め息をし、体をさすりながら部屋に戻っていった姉。

昨日はしゃぎすぎたんだろうな。
朝早くから遊びに行って、俺が寝る頃に帰ってきてたし。

本当、男遊びも程々にしろよ。


去年、俺が家にいるのを知らずに、彼氏を部屋に連れ込んでイチャつき始めたことがあった。

聞こえてくる声があまりにもぶりっ子すぎて、その日はご飯がのどを通らなかったっけ。

あの日は人生の中で一番最悪の日だったよ。