サングラスを受け取り、電車に乗った。



「「…………」」



座席に並んで座ったものの……先程の雰囲気から一変して、お互い一言もしゃべらず、沈黙が続いている。


助けに行った時、今まで見たことがないくらい怖がっていた。

清花ちゃんも少し涙目だったし、あの先輩達と何かあったのかな……。



最寄り駅に着いて自転車置き場に向かうと。



「あの……この後少し時間ある?」

「うん。大丈夫だよ」



弱々しく口を開いた綿原さん。

公園に移動し、ベンチに腰かけた。



「急に寄り道しちゃってごめんね」

「ううん。何か話したいことあった?」

「うん……」



明らかに様子がおかしい。
これは単に疲れていただけではなさそう。



「……さっきの……先輩達なんだけどね……」

「うん」

「その……去年……清花と私……」

「大丈夫? 無理しなくていいよ?」



途切れ途切れになって、口元が少し震えている。

相当ヤバいことがあったのか……?



「あのね……私……達、あの先輩達に……おそ、襲われそうになったの……」

「えっ……?」



おそ、え、嘘だろ?
待って、学校でそんなことがあったわけ?

頭が混乱する中、彼女はゆっくり語り始めた。



「去年の、5月にね……」