家に着き、そのままベッドにダイブ。

かすかに服に残った甘い香りを堪能する。



「はぁぁぁぁもう~! マジ可愛いすぎでしょぉ~!」

「うるっさい! 静かにしろ!」



自分を抱きしめてベッドの上でゴロゴロしていると、部屋の外から姉の怒鳴り声が聞こえてきた。

ヤッベ、また声大きくなってた。



「ごめ~ん!」

「……チッ、このリア充が」



毎度のごとく口が悪いが、声色がいつもと違う。

慌ててドアを開けると。



「どうしたの……⁉」

「……えい君のバカァァァー‼」

「痛い痛い痛い! 腕ちぎれるって!」



目を真っ赤に腫らした姉は、俺の両腕をがっちり掴み、ブンブン上下に振りながら泣き叫び始めた。

このニオイ……真っ昼間からやけ酒かよ。



「どうしたの。彼氏とケンカした?」

「…………られた」

「え?」

「……フラレたの!」



うわぁ……とうとう別れたちゃったんだ。

彼氏さん、何度か見たことあったけど、すごく優しい人だったのに……もったいねぇ。



「自業自得じゃね? これでもう男遊びには懲りたでしょ。反省して、これからは真面目な恋愛を……」



説教していると……まるで今にも呪ってきそうな恐ろしい目つきで睨まれた。



「アッハハ、お酒の邪魔してごめんね? ど~ぞ、たくさん飲んで忘れて~?」



身の危険を感じて、姉を部屋に帰し、急いで自分の部屋に避難した。