先輩の両親も俺の両親と同じく共働きで、昼休みに購買や食堂でバッタリ会うことが多い。

それがきっかけで、よく話すようになって仲良くなった。



「先輩、料理する時はミリ単位までこだわってそうなイメージがあります」

「ハハハ! 実際は目分量でなんとかなるだろーって思ってるよ」



目分量って……。

前々から思ってたけど、見た目は神経質そうなのに、中身とのギャップありすぎじゃね?



「本当に見た目と全然違いますね」

「よく言われるー。見かけ倒しって言われたこともあったよ」

「……確かに」



ボソッと呟いたのが聞こえたのか、「おいっ!」とツッコまれた。



「すみません!」

「もー! そこはたとえ思ってても否定してよ!」



黒瀬先輩は見た目と違って、自由で気さくな性格で、少しルーズなところがある。

水沢くんが言うには、三日坊主で、以前は遅刻ギリギリで登校してきていたらしい。


そういうところが見かけ倒しだなって思ったんだけど……実はもう1つ理由がある。



「あ、冬川くんにお願いがあるんだけどさ」

「何ですか?」

「北松さんの連絡先教えて?」