まさかまさかまさか!
王子のほうから来るなんて……!

これって運命⁉ 運命なの⁉



「き、北松さん⁉ どうしたの⁉」

「先生ありがとう! 本当にありがとう! 失礼しました!」



先生の手をガシッと掴んでお礼を言い、荷物を持って保健室を出た。

猛ダッシュで彼の後を追ったのだけど……。



「……っ、どこぉーーーー⁉」



靴を履き替えて校門に向かったものの、彼らしき姿はなかった。

まだ学校にいるのかな。
そう思って校舎へ戻り、全部の階を回ってみた。

けれど……どこにもいない。

トイレにいるのかなぁ。
それかもう帰っちゃったのかな……。


トボトボ歩いて自転車置き場に向かっていると。



「冬川くん! お待たせ!」



駐車場から海先生の声が聞こえた。

随分親しげな様子。誰かと待ち合わせしてたのかな?



「えっ……⁉」



気になって校舎の陰から覗いてみると、なんと先生の隣に、ついさっきまで捜していた彼がいた。



「海せんせーい‼」

「お! 北松さん!」



ブンブン手を振り、駆け寄る。

ピカピカの黒い車。どうやらちょうど帰るところだったみたい。



「どうしたの?」

「先生こそ! なんで王子といるんですか?」



息切れしつつ尋ねて彼を見る。

あれ……? なんか、機嫌が悪そう。