ガッチガチに固まっていると、突然詩恩はパッと離れて椅子に座り直した。

解放されたと思ったのもつかの間。



「やっぱ向かい合ってギューしたいな」



「来て?」と自分自身の膝をポンポン。

まさか、この上に座れと……?



「早くぅ。健達帰ってきちゃう」

「わかったよ……」



私達付き合ってないのに……。

こんなのラブラブのカップルがやるやつだよぉ……。


どうしても膝に座る勇気がなかったため、両膝の間に入って正面から抱きしめた。


……しまった。頭の位置考えてなかった。

体をずらそうと動くと、腰に両腕が回ってきた。



「なんで動くの」

「いや、その……頭の位置がちょっと……」



この位置だと心臓の音が聞こえてしまう。



「……あれ? ドキドキしてるの?」

「……っ!」



ビクッと肩が跳ねた瞬間、彼の膝の上に座らされた。



「どう? 息抜きできた?」

「いや……」



息抜きどころか、逆に身体中が熱くなってますぅーー‼

否定してようやく解放されると思っていた。

しかし──。