そんなぁぁぁ。鬼畜お母さんめぇぇ。

言い返したかったけど、そんな暇もなく。

終始バタバタで登校準備を進め、自転車のペダルを必死に漕いで、猛スピードで学校へ。



「はぁっ……お、おはようございますっ……」



チャイムが鳴る5分前に着き、校門にいる生徒指導の先生に挨拶をした。



「おはよう。随分ボロボロじゃないか。寝坊したのか?」

「はい……」



いつもは10分かかるところを3分も縮めたもんだから、向かい風を受けまくり、髪の毛はボサボサ。

先生に誘導され、2年生の自転車置き場へ足を運ぶ。

急いでいたとはいえ、さすがにこの頭のまま入るわけにもいかない。

自転車を置き、髪の毛をゴムで結びながら校舎に入り、クラス分けの張り紙を見て、2年3組の教室へ向かう。



「明莉! おはよう!」

「おはよぉ〜」



入るやいなや、友達の光野千夏(こうの ちなつ)に抱きついた。

彼女は中学からの付き合いで、面倒見がいいしっかり者。料理が得意で家庭科部に入っているの。



「今年も同じクラスで良かったよ〜」

「私も。それよりビックリしたよ。まさか新学期から休むのかと思った」

「アハハ……ちょっと寝坊しちゃって」